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予算と実績の管理を!(予実対比のススメ)

利益計画を策定する重要性が増してきた

大企業ならまだしも中小企業で「利益計画の策定なんて必要なの」、といわれることがあります。もちろん必要です。

というのも、税法上、役員給与の金額を期中に変更することが原則不利となりました。このことにより、期首に役員給与の金額を決定することがとても重要となりましたが、その根拠付けは利益計画を中心に考えるほかありません。つまり、中小企業といえども、決算前に「来期の利益計画の策定」を行うことが大事なのです。

また、今期の節税対策にもその利益計画が有効に機能する場合があります。例えば、来期の計画で広告宣伝などの投資を予定している場合に、状況によってはその投資を少し早めることによって今期の節税対策が可能になるかもしれません。

更には、2年前の売上高が1,000万円超5,000万円以下の会社の多くは簡易課税制度を選択することができますが、その選択の検討資料としてもこの利益計画が大事になります。

手順はまず返済原資を確保することから

とはいえ、大企業のような経営企画室などがない中小企業では、どのようにして「利益計画」を立てればいいのでしょうか。ここでは、「今まで利益計画など立てたことがない。立てるとしたら、経営者である私が経理担当者などに手伝ってもらいながらやるしかない」という通常の中小企業を想定して、簡単な利益計画の立て方をお伝えします。

まずは、経営者の頭の中にある来年の構想を白紙の用紙に自由に書くことから始めてください。例えば、営業1人採用(年収400万円、採用費20万円)や、新商品開発及びテスト販売開始(開発費100万円、テスト販売費用30万円、広告費20万円)などをまず白紙の用紙に書いてください。できればそれらが関連する場合は、それぞれを矢印でつなげてください。例えば、新商品のテスト販売に新規採用予定の営業マンをあてるのであれば、それらを矢印でつないでおくのです。

そうすると、経営者の頭の中にあった構想が、段々とリアルになってきて、より詳細な来年の計画が浮かび上がってきます。例えば、単純に新商品の開発と考えていたのが、そのために必要なパンフレット費用や人員の確保などが見えてきます。

次には、その構想を横に置きながら、いよいよ本格的に利益計画を策定していくことになります。利益計画の策定方法は色々とありますが、中小企業においては、まず「(長期借入金の年間返済額-減価償却費)×2倍=最低目標経常利益」として下さい。

これはどういうことかというと、来年の借入返済原資が確保できる利益をまず決めて、その後に経費や売上の目標値を決めていくという方法です。ここで、減価償却費を差し引いているのは、減価償却費というのがお金の出ていかない費用であるためです。また、2倍としているのは、税金を考慮しているからです。 この観点は中小企業経営者においては忘れがちですので、ぜひ覚えておいて下さい。つまりは、利益を100稼いでも半分(実際は40%程度ですが保守的に考えています)は税金で、残りの50しか借入返済に回せないということです。

経常利益が決まると…

経常利益が決まれば、次に、人件費や家賃、減価償却費などの固定費を、今年や昨年の損益計算書および先ほどの用紙などを見ながら決めていきます(役員給与はいったん今期と同額にしておいて下さい)。ここで、減価償却費については、会計事務所側で減価償却台帳を翌期更新してもらってその金額を教えてもらってください。また、緊急事態でない限りは、今年かかった固定費はほぼ同額来年もかかると考えておいたほうがいいでしょう。

従って、最初はあまり細かい数字にはこだわらず、会社の規模にもよりますが、万円単位や10万円単位でラフに作成して下さい。 ここまでで、会社が最低限稼がないといけない経常利益と固定費が決まりました。するとその合計値(経常利益+固定費)により、来期最低必要な売上総利益(粗利益)が決まります。

ここで、営業などと相談して決めた来期販売計画などから出てくる売上高と突き合わせてください。

例えば、最低限必要な売上総利益が300と算出されて、販売計画からくる売上高が600で原価率が40%であると仮定します。すると、売上総利益は600-600×40%=360となり、最低限必要な売上総利益300と比較すると、360-300=60の余裕があることになります。それを例えば、3分法により、会社利益20、従業員賞与20、役員給与アップ20として配分するのも1つの考え方です。 そして完成した利益計画は、ぜひ、来期における毎月の試算表において実績と比較してください。

最近のパソコンでは、予算計画数字を入力できるようになっていますので、「計画(予算)と実績の比較」はとても簡単に行えます。そして、目標である計画とのズレをなるべく早くに是正できるように対応していきましょう。

簡単な利益計画の策定方法

2008.10.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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