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所得拡大促進税制のシミュレーション例

初回適用時のみ、基準事業年度=前事業年度

平成25年度税制改正において所得拡大促進税制が新設され、平成25年4月1日以降開始事業年度から適用となる。おおまかには、給与等支給額を増加させた場合、当該支給増加額について10%の税額控除を認める制度で、次の3つの要件を満たすことが必要となる。  

①給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加  
②給与等支給額が前事業年度を下回らないこと  
③平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと

(注)給与等支給額とは、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。  

所得拡大促進税制を適用しようとする場合には、事前に上記要件のシミュレーションが重要となる。適用初年度においては、「基準事業年度=前事業年度」となるため、初回の適用に限り、実質的な要件は①、③の2つとなる。

実際は、雇用促進税制も考慮する必要あり

例えば、平成25年3月期において、給与等支給額は4,000万円、国内雇用者は10人で期中の異動はなかったとする。この場合、平成26年3月期において所得拡大促進税制を受けるためには、まず、4,000万円+4,000万円×5%=4,200万円以上の給与等支給額が必要となる。この増加を賃上げで達成するのか、新規雇用で達成するのかで、この先のシミュレーションは変わってくる。

賃上げのみで達成する場合には、全従業員で平均5%以上の賃上げ、又は賞与アップ等が必要となる。

では、新規雇用のみで達成する場合には、何人の雇用が必要だろうか。平成25年3月期における平均給与等支給額は、4,000万円÷(10人×12月)=333,333円となり、これを年収に換算すると、400万円となる。つまり、新規雇用のみで③の要件を満たすためには、平均年収400万円以上になるような従業員を雇用しなければならない。

仮に、年収400万円の従業員を期首に1人雇用したとすると、当事業年度の給与等支給額は4,000万円+400万円=4,400万円となり、①の要件も満たす。現実には、雇用時期や賃上げと新規雇用のミックスなどの要素も考えなければならないので、これほど単純には計算できないが、シミュレーションの重要性はご理解頂けたと思う。

さらに、新規雇用をする場合には、雇用促進税制を念頭においているケースが多いと思われる。ただ、その場合でも所得拡大促進税制を選択できる余地はあるので、そういった場合には、雇用促進税制との比較もシミュレーションに加える必要があるだろう。

2013.6.25執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
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